「個人年金は月額5,000円からで十分なの?」
「月額5,000円払い込んだ場合の将来的な受給額を知りたい」
と悩んでいませんか?
個人年金保険で将来に備えようとしているが、月額5,000円で足りるのか不安な人は多いのではないでしょうか?
また、そもそも個人年金保険を利用すべきかわからない人もいるかもしれません。
そこでこの記事では、以下の内容について詳しく解説します。
- 個人年金保険を月額5,000円で運用した場合の受取金額
- 月額5,000円での運用をおすすめする人・しない人
記事後半では、個人年金保険以外の資産運用方法との比較してどうなのかという点も紹介します。
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個人年金保険を月額5,000円で運用した場合の受取金額
個人年金保険を月額5,000円ではじめようと考えている人のなかには、将来の受取金額がいくらになるのか知りたい人も多いのではないでしょうか?
そこで、以下の条件で個人年金保険を月額5,000円で運用した場合の将来的な受取金額についてシミュレーションします。
- 25歳で定額個人年金保険を契約した場合
- 30歳で定額個人年金保険を契約した場合
- 35歳で定額個人年金保険を契約した場合
なお、定年退職する年齢は65歳、受給期間は75歳までの10年間とします。日本生命の年金保険でシミュレーションした結果を順番に見ていきましょう。
1.25歳で定額個人年金保険を契約した場合
25歳で定額個人年金保険を契約した場合、60歳までの積立年金総額は約239万9,000円です。
受取金額の計算結果は以下の通りです。
男性 | 女性 | |
---|---|---|
積立年金総額 | 約239万9,000円 | 約239万9,000円 |
年金総額 | 約255万4,000円 | 約255万7,000円 |
返還率 | 約106.4% | 約106.5% |
個人年金保険は、65歳から75歳になるまで受け取り続けることができるため、男性は毎年25万5,400円、女性は毎年25万5,700円受け取れます。
2.30歳で定額個人年金保険を契約した場合
次に、30歳の時点で定額個人年金保険を契約した場合に、毎月5,000円ずつ運用するといくら受け取れるのか計算してみました。
男性 | 女性 | |
---|---|---|
積立年金総額 | 約209万9,000円 | 約209万9,000円 |
年金総額 | 約221万1,000円 | 約221万4,000円 |
返還率 | 約105.3% | 約105.4% |
個人年金保険の毎年の受給額は、男性が22万1,100円、女性が22万1,400円となります。
3.35歳で定額個人年金保険を契約した場合
次に、35歳の時点で定額個人年金保険を契約した場合に、毎月5,000円ずつ運用するといくら受け取れるのか計算してみましょう。
男性 | 女性 | |
---|---|---|
積立年金総額 | 約179万9,000円 | 約179万9,000円 |
年金総額 | 約187万6,000円 | 約187万7,000円 |
返還率 | 約104.2% | 約104.3% |
個人年金保険の毎年の受給額は、男性が18万7,600円、女性が18万7,700円となります。
個人年金は月額5,000円で十分なのか?
個人年金保険は月額5,000円からできるものもあります。ただ、月額5,000円のみの支払いで将来生活していくだけの受給額になるのか不安を感じている人も多いのではないでしょうか?
月額5,000円を支払い続けた場合の受給額が十分かどうかは、将来生活するのに必要な資金をどのくらい確保できているかによるため、個人により異なります。
つまり、個人年金への支払いが5,000円のみであっても、将来年金だけでは足りない収入分を補えるのであれば問題ありません。
例えば、将来年金以外に必要な資金が150万円であれば、毎月5,000円であっても約25年払えば十分足ります。ただし、払い込み期間が短い場合は、毎月5,000円の支払いだけでは老後の生活費を賄いきれなくなるかもしれません。
そのため、払込金額の増額を検討するしかないでしょう。
月額5,000円の個人年金をおすすめする人
月額5,000円の個人年金は、以下のような人におすすめです。
- 月額5,000円で老後に備えられることがわかっている人
- 貯金が苦手な人
- 保険料控除による税金対策に興味がある人
詳しく見ていきましょう。
1.月額5,000円で老後に備えられることがわかっている人
月額5,000円の支払いを続けておけば老後に備えられることがわかっている人は、当然その金額で十分足ります。家計に余裕があれば増額しても問題ありません。
月額5,000円の支払いで十分かは、将来足りない金額と定年退職するまでの期間によって変わるので、あらかじめシミュレーションしておきましょう。
2.貯金が苦手な人
将来に不安があるからお金を貯めておきたいと考えていても、ついつい食費や趣味に使ってしまう人もいるかもしれません。
しかし、個人年金保険なら毎月の保険料が口座から自動的に引き落とされるため、貯金が苦手な人でも老後に備えやすくなります。
また、個人年金保険は途中解約をすると元本割れする可能性があるので、意思の弱い人でも続けやすいでしょう。
3.保険料控除による税金対策に興味がある人
個人年金保険として支払った保険料は、以下の条件を満たせば、控除対象となります。
- 年金受取人が契約者本人もしくは配偶者
- 年金受取人が被保険者と同じ
- 保険料払込期間が10年以上
- 受取開始時期が60歳以上で受取期間が10年以上か終身タイプ
個人年金保険料控除は、1年間に支払った保険料総額から、所得税・住民税が以下の金額分控除されるため、支払う税金が安くなる仕組みです。
年間払込保険料 | 所得税の控除額 |
---|---|
2万円以下 | 払込保険料の全額 |
2万円超4万円以下 | (払込保険料×2分の1)+1万円 |
4万円超8万円以下 | (払込保険料×4分の1)+2万円 |
8万円超 | 一律4万円 |
年間払込保険料 | 住民税の控除額 |
---|---|
1万2,000円以下 | 払込保険料の全額 |
1万2,000円超3万2,000円以下 | (払込保険料×2分の1)+6,000円 |
3万2,000円超5万6,000円以下 | (払込保険料×4分の1)+1万4,000円 |
5万6,000円超 | 一律2万8,000円 |
毎月5,000円支払った場合の年間払込保険料は6万円です。
したがって、所得税・住民税の控除額は以下のように計算できます。
- 所得税控除額:(6万円×4分の1)+2万円=3万5,000円
- 住民税控除額:6万円の場合、5万6,000円を超えているので一律2万8,000円
なお、個人年金保険の払込保険料が年間8万円超を超える場合であっても、所得税控除額は4万円、住民税控除額は2万8,000円が上限となります。
したがって、税金対策を重要視している人の場合、毎月の払込保険料を多く支払っても保険料控除額は増えないので注意が必要です。
月額5,000円の個人年金をおすすめしない人
月額5,000円の個人年金をおすすめしない人もいるので、注意が必要です。
- 大きなライフイベントを控えている人
- 毎月の支払いを続ける自信がない人
- 高い利回りの金融商品に投資したい人
- 昨今のドル高円安に不安を感じている
順番に詳しく見ていきましょう。
1.大きなライフイベントを控えている人
個人年金保険は、結婚・子どもの入学など大きなライフイベントを控えていて、収入に余裕がない人にはおすすめできません。なぜなら、急な出費などにより途中解約をすると元本割れの恐れがあるため、支払った保険料が全額戻ってこない可能性があるからです。
個人年金保険は、老後まで引き出すことができないので、契約前に急な出費が発生する可能性がないかよく考えておきましょう。
2.毎月の支払いを続ける自信がない人
収入が少ないなど毎月の支払いを続ける自信がない人にも個人年金保険はおすすめできません。
個人年金保険で損をしないためには、長期間途中解約をしないのが前提です。
途中解約をすると、元本割れにより損をする可能性があるので注意しなければなりません。
なお、保険料の支払いが難しくなった場合、払い済みや休止により解約を避ける方法もあります。
払い済みとは、以後の保険料の払込を中止して、契約を変更後の解約返戻金をもとにした金額に直します。受給額は少なくなるものの、保険料の支払いをすることなく契約は継続できるため、元本割れを回避できるのです。
3.高い利回りの金融商品に投資したい人
個人年金保険は高い利回りを狙う投資方法ではないので、短期間で高い収益を狙いたい人にはおすすめできません。
返戻率(払込保険料にかけた金額が受給額になる)は低い保険会社で100%台、高い保険会社でも109%台です。
年利に直すと1%未満となり、ほかの金融商品と比較すると低水準です。高い利回りを求めている人は、ほかの金融商品のほうが本来の目的と一致するでしょう。
4.昨今のドル高円安に不安を感じている
定額個人年金保険の場合、インフレにより物価が長期間上がり続けると、円の価値が下がる(ドル高円安になる)リスクがあるので注意が必要です。
今後もインフレによる物価上昇が続くかはわかりませんが、日本円の価値に不安があるなら個人年金保険での投資を選ぶ必要はありません。
個人年金保険以外にも老後資金を準備する方法もある
老後資金を準備する方法は、個人年金保険だけではありません。これから紹介する4つの方法もあるので、老後までの期間や現在の資産などに応じてよく検討しましょう。
- iDeCo
- 企業型確定拠出年金
- NISA
- 財形貯蓄
それぞれのメリットやデメリットなどを順番に解説します。
1.iDeCo
iDeCoとは、自身で拠出した掛金を運用することで、国民年金や厚生年金に加えて将来に備えるための年金制度です。
拠出とは、年金や保険の加入者が運営者に対して、掛金を払い込むこと。
なお、掛金額は拠出限度額の範囲内で月5,000円以上、1,000円単位で決められます。例えば、会社員(公務員以外)かつ確定給付型の年金や企業型DCに加入していない場合は、月23,000円までの範囲内で拠出が可能。運営管理機関が選定・提示した商品(預貯金・保険商品・投資信託など)から、自分で選びます。
そして積み立てた掛金は全額所得控除の対象となるため、控除額が年間最大で4万円しかない個人年金保険よりも控除の恩恵を受けられます。
また、運用益・受取時も一定額まで非課税となる制度です。
ただし、個人年金保険よりも元本割れのリスクが高くなるケースもあるので注意しなければなりません。
2.企業型確定拠出年金
企業型確定拠出年金とは、企業が掛金を毎月拠出し、運用は従業員が行う制度です。
掛金の額は会社での役職などにより変わりますが、ほかの企業年金がある場合は月2万7,500円、ほかの企業年金がない場合は月5万5,000円まで拠出できます。
また、マッチング拠出と呼ばれる企業の支払った掛け金に追加で従業員が上乗せする制度もあります。
メリットとしては、個人年金保険をはじめとした一般的な資産運用とは異なり、企業が掛金を負担してくれる点です。
また、以下のような税制上の恩恵も受けられます。
運用益 | 非課税になる |
企業が拠出した掛金 | 損金算入扱いになる(給料ではないため) |
将来給付金を受け取る時 | 所得控除の対象となり、所得税や住民税の負担が減る |
ただし、注意点もあります。まず、将来受け取る受給額については従業員側の責任となるため、運用成績次第では元本割れのリスクは高くなるでしょう。
また、60歳までは給付を受けられないので注意が必要です。
3.NISA
NISAとは、NISA口座で毎年一定金額までの購入した金融商品から生じる利益が非課税となる制度です。
2023年までは一般NISA(非課税枠は毎年120万円×5年間)とつみたてNISA(非課税枠は毎年40万円×20年間)の2つの制度があります。
しかし、2024年以降は、以下のようにNISA制度が大きく変わることとなりました。
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
---|---|---|
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
非課税保有期間 | 無期限化 | 無期限化 |
非課税保有限度額 | 1,800万円 | 1,200万円(つみたて投資枠と合わせて1,800万円まで) |
投資対象商品 | 金融庁の選定した投資信託 | 上場株式や投資信託など |
2024年からの新NISA以降は、非課税保有限度額までの範囲内であれば、無期限で運用益に税金がかかりません。
この点、保険料控除のみの個人年金保険よりも税制上の恩恵を受けられます。さらに、投資信託や上場株式に投資するため、運用成績次第で資産を増やせるでしょう。
一方で、運用成績が著しく悪化するケースもあるので、元本割れのリスクは個人年金保険よりも高くなります。
したがって、運用先の金融商品は慎重に選ばなければなりません。
4.財形貯蓄
財形貯蓄は、55歳未満の勤労者が金融機関などと契約を結んで毎月の給料から天引きした上で事業者が積立を行い、60歳以降に年金として受け取る貯蓄です。
また、住宅財形や年金財形を利用する場合、元金550万円までの利子にかかる税金は非課税になります。
さらに、途中での引き出しが可能な点も個人年金保険と比べたメリットといえます。一方で、財形貯蓄制度を利用できるのは、福利厚生として導入している一部の企業で働く従業員のみと限られています。
そして、金融機関の設定する預入利子が低すぎる場合、非課税となる金額も少ないためあまりメリットを感じられないかもしれません。
個人年金保険は必ずしもおすすめできない
個人年金保険は、貯金が苦手な人や将来に備えたい人におすすめの商品です。
しかし、iDeCoやNISAなどほかの金融商品と比べると、税制の恩恵を受けられたり資産を大きく増やしたりできるわけではありません。
さらに、途中解約をすると元本割れする可能性が高く、急にお金が必要になった際に引き出しができないのも不便に感じる人が多いでしょう。
そのため、明確に個人年金保険を利用する目的がないのであれば、iDeCoやNISAなどでの運用をおすすめします。
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