「貯金はしないほうがいい」という言葉を聞いたことはありませんか?
実は、お金を上手に増やすには貯金だけでなく、投資を始めることも大切です。ただし、投資にはリスクもあります。だからこそ、お金に関する正しい知識が必要です。
そこで本記事では、FP1級の鬼塚が以下の内容について解説します。
- 貯金しないほうがいいと言われる理由
- 年齢別の貯金額目安
- 上手く貯金するコツ
将来のために今からできることがきっと見つかるので、ぜひ最後までお読みください。
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貯金しないほうがいいと言われる理由
貯金をしないほうがいいと言われる理由を3つ紹介します。
- 現金で持っていても価値が下がる可能性がある
- 資産運用から得られる収入>給与の上昇率と言われている
- 自己投資の妨げになる
ひとつずつ見ていきましょう。
1. 現金で持っていても価値が下がる可能性がある
お金を銀行に預けているだけでは、損をしている可能性があります。物価が上がると、同じ額でも買えるものが少なくなってしまうからです。
たとえば「5年くらい前は1個100円で買えたドーナツが、今は160円くらいになっている…」という経験がある方も多いのではないでしょうか。
この現象を「インフレーション」と呼び、2023年の日本の消費者物価指数(CPI)は、前年比3.1%の上昇率でした。これは、1982年以来41年ぶりの高い上昇率を記録しています。
経済が成長し続ける資本主義において、物価は上昇する傾向にあるため、お金をそのまま保有しているだけでは将来的にその価値が減少してしまう恐れがあるのです。
2. 資産運用から得られる収入>給与の上昇率と言われている
資産運用から得られる収入は、給与の上昇率を上回ると言われており、資本所有者にとっては貯金よりも資産運用のほうが有益な選択肢とされることがあります。
フランスの経済会社トマ・ピケティさんは、以下の不等式を提唱しました。
資本収益率(r)>経済成長率(g)
資本収益率:資産運用から得られるリターン
経済成長率:給与の上昇率
トマ・ピケティ著の『21世紀の資本』では、18世紀までさかのぼってデータを分析した結果「資本収益率が年に5%程度で、経済成長率は1~2%程度しかなかった」と記載されています。
実際、日経電子版(2019年12月29日)によると「人件費の伸びは3%だが、配当は5.4倍に増えた」と公表されています。
このことから、裕福な人 (資産を持って運用している人) はより裕福になりやすく、労働でしか富を得られない人は相対的に裕福になりにくいことがわかるでしょう。
3. 自己投資の妨げになる
貯金をすることは将来への備えとして重要ですが、貯金が過剰になると自己投資の機会を逃す恐れがあります。
読書をしたり、資格取得に向けてスクールに通ったりする自己投資にはお金がかかります。この費用をケチって貯金していると、成長するチャンスを失うことになりかねません。
とくに20代~30代は、これからの社会人としての人生も長く残されています。自己投資をした結果、転職に成功し年収が数百万円アップする可能性もあり、もしそうなれば資産運用とは比べ物にならないほど圧倒的に大きいリターンを得られるでしょう。
貯金しないほうがいいって本当?実は困ることも多い
「貯金しないほうがいい」という意見に対する反論を3つ紹介します。
- 興味のあることに挑戦できない
- 結婚や子育てに踏み切れない
- 経済的な不安がつきまとう
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 興味のあることに挑戦できない
貯金がないと、やってみたいことに挑戦する機会を逃してしまう恐れがあります。
たとえば、新しい趣味を始めたくても、道具を買うお金がなければ始められないでしょう。習い事や資格取得など、自分を成長させるチャンスも逃してしまうかもしれません。
また、起業したいと思っても、初期費用がなければ夢をあきらめざるを得なくなるでしょう。
手元にお金がまったくないことは、自分の可能性を広げる機会を失い、人生が制限されることにつながります。
2. 結婚や子育てに踏み切れない
貯金がないことは、結婚や子育てに不安を感じる原因です。
結婚式にはおよそ300万円かかると言われており、貯金なしではなかなか踏み出せないでしょう。
また、1人あたりの教育費は以下のとおりです。
幼稚園から大学まですべて公立の場合 | 幼稚園から大学まですべて私立の場合 |
---|---|
約822.5万円 | 約2,307.5万円 |
経済的な不安から結婚や出産を諦めると、自分の幸せを犠牲にすることになりかねません。将来の家族計画を立てるためにも、ある程度の貯金は不可欠です。
3. 経済的な不安がつきまとう
貯金がないと、予期せぬ出費があったときに対応できず、常に不安を感じることになるでしょう。
たとえば、突然の病気やケガで働けなくなった場合、手元に蓄えがないと生活費に困ってしまう恐れがあります。車や家電の故障など、思わぬ出費にも対応できず、日々の生活に支障をきたすかもしれません。
社会保険制度や各種支援制度を活用することで、一部のリスクを軽減できる場合はあるものの、手元にお金があることは安心感につながります。
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年齢別の貯金額目安
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」に基づき、年齢別の貯金額目安を以下の表にまとめました。
令和5年の結果▼
年齢層 | 単身世帯平均 | 単身世帯中央値 | 2人以上世帯平均 | 2人以上世帯中央値 |
---|---|---|---|---|
20代 | 121 | 9 | 403 | 171 |
30代 | 594 | 100 | 856 | 337 |
40代 | 559 | 47 | 1,236 | 500 |
50代 | 1,391 | 80 | 1,611 | 745 |
60代 | 1,468 | 210 | 2,588 | 1,200 |
70代 | 1,529 | 500 | 2,188 | 1,100 |
平均 | 941 | 100 | 1,758 | 715 |
こちらの表からもわかるように、年齢が上がるにつれて平均貯金額が増加する傾向が見られます。ただし、平均値と中央値に差があることから、貯金額の個人差は大きいという現実があることも見えてきます。
また、2人以上世帯では全体的に単身世帯よりも貯蓄額が高い傾向にあります。単身世帯では、40代以降の中央値が低いことから、貯蓄の二極化が進んでいると言えるでしょう。
このような数値を参考に、自身の貯蓄状況を客観的に評価し、将来の資金計画を立てることが重要です!
うまく貯金するコツ【余裕があればしたほうがいい】
ここでは、うまくお金を貯めるコツを3つ紹介します。
- 生活コストを見直す
- 先取り貯金に取り組む
- 用途別に口座をわける
ぜひ参考にしてみてください。
1. 生活コストを見直す
まず、毎日の生活にかかるお金を細かくチェックし、必要のない出費を減らすことが大切です。
たとえば、使っていないサブスクリプションサービスを解約すると、月に数千円節約できます。食費を見直し、外食を減らして自炊を増やすと、意外に節約できることもあるでしょう。
電気やガス・水道の使い方を工夫すれば、毎月の光熱費を数千円削減できるかもしれません。
こうした小さな節約を積み重ねることで、年間で数万円ほどお金を貯められるでしょう。
2. 先取り貯金に取り組む
給料をもらったらすぐに、決めた金額を貯金口座に移すのが先取り貯金です。毎月の給料の10%を貯金に回すと決めたら、給料日にすぐその金額を別口座に移しましょう。
このような工夫をすれば、なんとなく使ってしまうお金が減るので無駄遣いを防げます。先取り貯金の効果は大きく、月3万円の先取り貯金を1年続けると36万円、10年続ければ360万円も貯まる計算になります。
さらに、iDeCoやNISAなどの制度を使って運用すれば、税金の優遇も受けられるため効果的にお金を増やせるでしょう。
3. 用途別に口座を分ける
お金の使い道ごとに口座を分けると、効果的にお金を貯められます。
「生活費用」「固定費支払い」「貯金」などの口座を用途別に作りましょう。生活費用の口座からお金が減っていく様子を見れば、使いすぎていることに気が付きやすくなります。
また、貯金口座にお金が増えていく様子を見ると、貯金を続ける励みにもなるでしょう。
貯金しないなら他の方法でお金を貯めて増やそう
お金を貯める手段は貯金だけではありません。投資にお金を回すことで、貯金より効率的にお金を増やせる可能性があります。
ここでは、お金を運用できるだけでなく税制優遇を受けられる仕組みを2つ紹介します。
- NISA
- iDeCo
まだ始めていない方は、ぜひ検討してみてください、
1. NISA
NISAは、お金を増やすのに便利な制度で、運用利益に税金がかからないのが、最大のメリットです。
2024年からは新しいNISAが始まり、最大で1,800万円まで非課税で運用できます。
毎月3万円ずつ20年間貯金した場合と、その同額をNISA制度を使い投資信託で運用した場合をシミュレーションしてみると以下のとおりです。
貯金(年利0%)の場合は720万円であるのに対し、年利6%で運用した場合は約1,386万円になり、その差は約666万円です。さらにNISA口座なら利益に税金はかからないので、本来徴収されるはずの約133万円分のお金が手元に残ります。
あくまでシミュレーションであるため、必ずしもこのとおりになるわけではないものの、貯金するよりNISA制度を利用したほうが、効率良くお金を増やせるでしょう。
2. iDeCo
iDeCoは、老後のためにお金を貯める制度です。掛けたお金が全額所得控除となり、所得税・住民税が軽減されます。また、最低掛金は5,000円と低額で、非常に始めやすい制度です。
ただし、原則60歳まではお金を引き出せないという決まりがあるのは押さえておきましょう。
NISAとiDeCoの使い分けについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみて下さい。
貯金や投資に関するよくある質問
最後に、投資や貯金に関する質問と回答を紹介します。
- 貯金と投資はどう使い分ければいい?
- 自分に合ったお金の貯め方を知るには?
- 一番効率よくお金を貯めるにはどうしたらいい?
ぜひ参考にしてみてください。
1. 貯金と投資はどう使い分ければいい?
貯金と投資は、目的と期間によって使い分けるのが良いでしょう。
短期的な目標や緊急時のお金には、安全な貯金がおすすめです。半年後の旅行資金や突然の出費に備えた緊急資金は、貯金で準備しましょう。
長期的な目標には、投資が向いています。10年後の住宅購入や20年後の子どもの教育資金などは、投資で準備すると良いでしょう。
自分の性格や状況に合わせて、貯金と投資をバランスよく組み合わせるのが大切です。
貯金と投資の割合についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。
2. 自分に合ったお金の貯め方を知るには?
自分に合った貯め方を見つけるには、まず今のお金の使い方を知ることから始めます。1ヶ月間、毎日の収入と支出を細かくメモして、自分のお金の使い方を分析しましょう。
「マネーフォワード」などの家計簿アプリを使えば、かんたんに記録をつけられます。
家計簿アプリとクレジットカードを紐づけておけば、いつどこで何にどれくらいお金を使ったのかを自動で記録できます。
次に、貯金の目的と目標額を決めましょう。たとえば「海外旅行のために、2年間で100万円貯める」というように、目標を具体的に決めると長続きしやすくなります。
必要に応じて、NISAなどの税制優遇制度を活用し、効率良くお金を増やすのも良いでしょう。
3. 一番効率よくお金を貯めるにはどうしたらいい?
効率よくお金を貯めるには、いくつかの方法を組み合わせるのが良いでしょう。
まず、無駄な出費を減らしましょう。たとえば、使っていないサブスクリプションを解約したり、会社帰りにコンビニに立ち寄るくせをやめたりすることが挙げられます。
次に、自動的に貯金できる仕組みを作りましょう。給料口座から毎月自動的に貯金用口座に振替するように設定すると、手間なくお金を管理できます。
加えて、貯まったお金の一部を、NISAやiDeCoなどの税制優遇制度を利用して運用することも考えましょう。
このような手順で管理することで、効率良くお金を貯められます。
これから投資を始めようとしている方は、以下の記事も参考にしてみてください。
貯金だけでなく投資にも取り組んで将来に備えよう!
お金を貯めることは大切ですが、貯金だけでなく投資も考えてみましょう。NISAやiDeCoを活用すれば、税金を抑えながら資産を増やせる可能性があります。
最初は少額から始め、徐々に慣れていくのがおすすめです。
月1,000円から始めても、長期間続ければ大きな差になるでしょう!
投資は難しそうに思えるかもしれませんが、正しい知識を身に付ければ誰でも始められます。不安なことがあれば専門家に相談しつつ、自分に合った方法を見つけましょう。
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