「日経平均とTOPIXのどちらを選べばいいのか迷っている…」
「eMAXIS Slimで投資を始めたいけど、銘柄の選び方が分からない」
このような悩みをお持ちではありませんか?
日本の株式市場を代表する指標である日経平均とTOPIXは、その特徴が大きく異なります。投資の目的やスタイルによって、最適な選択肢が変わってくるでしょう。
そこで本記事では、1級FP技能士の鬼塚が以下の内容について詳しく解説します。
- 日経平均とTOPIXの特徴
- 日経平均とTOPIXのリスクや過去のパフォーマンス
- 日経平均やTOPIX以外の指数について
この記事を読めば、あなたに合った投資先の選び方がわかるはずです!
なお、本記事の内容は以下の動画でも詳しく解説しているので、興味がある方はぜひご覧ください。
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日経平均とTOPIXのどっちに投資すべき?それぞれの特徴を解説
はじめに、日経平均とTOPIXの特徴について解説します。それぞれの指数の基本的な概要について、詳しく見ていきましょう。
1. 日経平均とは
日経平均は、日本を代表するさまざまな業界にまたがった225社の株価を平均して算出される指標です。
eMAXISSlim国内株式(日経平均)はその225社に投資をしている投資信託で、組入上位10銘柄は、以下のとおりです。
225社の銘柄選定は日本経済新聞社が行い、株価の高い企業の影響力が大きくなるという特徴があります。
2. TOPIXとは
TOPIXは、東京証券取引所が算出する株価指数で、プライム市場を中心とした約2,200社の時価総額を反映しています。
eMAXISSlim国内株式(TOPIX)は、その約2,200社に投資をしている投資信託で、組入上位10銘柄は、以下のとおりです。
最新の月次レポート(※2024年12月時点)を確認すると、組入銘柄総数は2,123銘柄で2,200銘柄から減少していることがわかります。
なぜなら、東京証券取引所は段階的に対象銘柄を絞り込む方針を示しているからです。2025年には1,700社、2028年には1,200社まで減少する予定です。
減少後の規模でも十分な分散投資効果が得られ、日本経済全体の成長を捉える指標としての役割は変わりません。
なお、日本株については以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
日経平均とTOPIXならどっちがいい?3つの観点で比較
それぞれの指数の特徴をより詳しく理解するために、以下の3つの観点から比較します。
- 組入1位の会社で比較
- 過去のパフォーマンスで比較
- リスクで比較
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 組入1位の会社で比較
日経平均とTOPIXでは、最も影響力のある企業が異なります。
日経平均の組入1位は、ユニクロを運営するファーストリテイリングで、株価は4万6000円・時価総額は14兆7000億円です。
一方、TOPIXの組入1位はトヨタ自動車で、株価は2,500円台ながら、時価総額は41兆円に達しています。
比較項目 | 日経平均の組入1位 ファーストリテイリング | TOPIXの組入1位 トヨタ自動車 |
---|---|---|
株価 | 4万6,360円 | 2,597円 |
発行済み株式数 | 3億1,822万株 | 157億9,498万7,000株 |
時価総額 | 14兆7千億円 | 41兆円 |
このようなちがいは指数の特性を表しており、日経平均は株価の高い企業の影響を強く受ける一方、TOPIXは時価総額の大きい企業の影響を受けます。
時価総額は、株価に発行済み株式数を掛けて算出されるため、TOPIXは企業の実質的な規模を正確に反映する指数です。
2. 過去のパフォーマンスで比較
1990年~2024年までの約35年間のパフォーマンスを分析すると、日経平均とTOPIXは長期的に見て似通った値動きを示しています。
ただし、期間によって優位性は異なります。
2008年8月~2024年10月までの約16年間では日経平均が優位でした。
一方、1997年9月~2007年7月までの約10年間ではTOPIXが優位です。
このように、時期によって日経平均とTOPIXのどちらが有利かは変わります。
いずれにせよ、35年という長いスパンでみると両者に大きな差はないといえるでしょう。
3. リスクで比較
結論からいうと、eMAXIS Slim国内株式で比較すると日経平均よりTOPIXのほうがリスクは低めです。リスクを測る指標として「標準偏差」があり、この値が低いほうがリスクは低くなります。
それぞれの標準偏差を比較した結果は、以下のとおりです。
比較対象 | eMAXIS Slim国内株式(TOPIX) | eMAXIS Slim国内株式(日経平均) |
---|---|---|
標準偏差1年 | 12.21 | 15.96 |
標準偏差3年 | 11.80 | 15.28 |
標準偏差5年 | 13.68 | 16.53 |
このように、いずれの期間を比較してもTOPIXのほうが日経平均より標準偏差が小さくなっています。
【補足】分散投資によるリスク低減効果について
分散投資によるリスク低減効果は、50銘柄程度で頭打ちになることが投資理論で示されています。投資のバイブルと言われている世界的大ベストセラー「ウォール街のランダム・ウォーカー」にも、以下のような記述があります。
「保有銘柄を50以上に増やしてもリスク低減はあまり期待できない」
しかし、実際のリスク指標である標準偏差を見ると、TOPIXの方が低い数値を示していることは事実です。
TOPIXのリスクが低いのは、より多くの企業に分散投資することで、個別企業の株価変動の影響を抑制できている結果といえます。
そのため「より多くの会社に分散投資をしてリスクを抑えた運用をしたい」という方にとっては、TOPIXのほうが向いているでしょう。
分散投資の重要性については、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
日経平均とTOPIXにおけるそれぞれの利点
日経平均とTOPIXには、それぞれの魅力があります。ここでは、各指数のメリットについて見ていきましょう。
- 日経平均に投資するメリット
- TOPIXに投資するメリット
それぞれの指数の主な利点について、詳しく解説します。
1. 日経平均に投資するメリット
日経平均に投資すると、代表的な日本企業に絞って投資できます。そのため、個別銘柄を自分で選ぶ手間が省けるでしょう。
銘柄入れ替えは、基本的に年1回の「定期見直し」で行われ、上場廃止などで欠員が生じた場合は「臨時入れ替え」によって銘柄が補充されます。
日経平均は、市場の流動性と業種間のバランスを考慮して選定されています。
また、225銘柄の平均値を取引するため、単一企業の倒産リスクを回避するだけでなく自然に分散投資効果が得られるのが、日経平均に投資するメリットです。
2. TOPIXに投資するメリット
TOPIXの利点は、約2,000社の企業を投資対象とすることで、日本の株式市場全体の動向を広く反映できる点です。
また、時価総額加重型を採用しているため、企業規模に応じて投資金額を配分できます。
時価総額加重型とは・・・
時価総額加重型は、組入銘柄の時価総額合計が各指数で定められた基準日からどれだけ変動したかを表し、単位は「ポイント」で示されます。
引用:「時価総額加重型」と「株価平均型」の特徴について教えてください。|野村アセットマネジメント
また、TOPIXは日経平均と比較してもリスクが低く、安定した投資先といえるでしょう。
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日経平均やTOPIX以外の指数
代表的な株価指数以外にも、さまざまな特徴を持った指数があります。ここでは、特徴的な株価指数について、2つ紹介します。
- 日経累進高配当株指数
- 日経連続増配株指数
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 日経累進高配当株指数
日経累進高配当株指数は、10年以上にわたり増配や高配当を維持している企業の中から、上位30社を選出して構成されています。2023年6月から公表が開始された新しい株価指数です。
2010年6月末を起点として遡及計算された値動きを分析すると、日経平均とほぼ同様の推移を示しています。
TOPIXと比較した表は、以下のとおりです。
2010年6月末~2023年5月末までの13年間では、ほとんど差がないことがわかります。
2. 日経連続増配株指数
日経連続増配株指数は、10年以上継続して増配を実施している企業から選出された70銘柄で構成する指数です。
組入銘柄は、以下のとおりです。
なお、日経連続増配株指数に連動するインデックスファンドとして、大和アセットマネジメントから商品が発売されています。
こちらの商品は、SBI証券や楽天証券で購入できます。日経連続増配株指数が本当に優れているかについて、日経平均やTOPIXと比較してみましょう。
日経平均やTOPIXと日経連続増配株指数を比較
日経連続増配株指数の特徴をより深く理解するために、以下の3つの観点から比較します。
- パフォーマンス
- 組入銘柄
- リスク
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. パフォーマンス
日経連続増配株指数と日経平均における過去のパフォーマンスを比較すると、2010年6月末から2023年5月末までの13年間では、以下のようになりました。
このことから、日経連続増配株指数のほうが日経平均よりもパフォーマンスが良いことがわかるでしょう。
ただし、パフォーマンスの良し悪しは比べる期間によって変わります。実際、直近5年間のデータでは、日経平均のパフォーマンスが日経連続増配株指数を上回っています。
つまり、日経連続増配株指数が日経平均のパフォーマンスを常に上回るとは限らないことを押さえておきましょう。
2. 組入銘柄
次に、日経連続増配株指数とTOPIXの組入銘柄を比較すると、増配株指数に選ばれている70銘柄のうち、67銘柄がTOPIXに含まれています。
増配株指数に含まれていてTOPIXに含まれていないのは、ヨシコン・沖縄セルラー・青山財産の3社だけです。
つまり、増配株指数に含まれている銘柄のほとんどはTOPIXにも入っているといえます。
3. リスク
最後に、日経連続増配株指数と日経平均のリスクを比べてみましょう。
上昇局面と下降局面における増配株指数と日経平均の市場追随率を比較したグラフは、以下のとおりです。
上昇相場において、増配株指数は日経平均の67.8%程度の上昇幅であり、日経平均株価と比較してリターンが限定される傾向にあります。一方、下落相場では日経平均の38.8%程度の下落幅で抑えていることがわかるでしょう。
この特性から、日経連続増配株指数はリスク管理を重視する投資家に適した投資先といえます。
そのため、資産形成の段階に応じて投資先を使い分けることが大切です。
たとえば、積極的な資産形成を目指す段階では日経平均を、退職後の資産維持を重視する段階では日経連続増配株指数を検討するといった具合です。
運用目的や投資スタイルに合わせて投資先を組み合わせることで、より効果的なポートフォリオを構築できます。
日経平均とTOPIXのどっちにするかは投資目的に合わせよう
日経平均とTOPIXは、どちらも日本の株式市場を代表する指標です。TOPIXは約2,000社に分散投資でき、リスクを抑えた安定的な運用が特徴です。
一方の日経平均は、225社と比較的少ないものの代表的な大企業に投資できるメリットがあります。
本記事の内容をかんたんにおさらいしましょう。
- 日経平均とTOPIXは投資している銘柄数が違います
- 日経平均は255銘柄、TOPIXは2,123銘柄(※2024年12月時点)
- 両者とも長期的に見ると同じような値動きをしています
- TOPIXのほうがリスクは低いです
- 日経連続増配株指数のほとんどはTOPIXに含まれています
日経平均とTOPIXのどちらにするかは、投資の目的に合わせて選ぶと良いでしょう。
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