「リバランスって難しそう…本当に私にもできるのかな?」
「毎月やらないといけないの?やり方を間違えたらどうしよう…」
「リバランスって、本当に効果があるの?面倒なだけじゃない?」
このような悩みをお持ちの方はいませんか?
リバランスには、投資のリスクを抑えながらリターンを向上させる効果があることが、過去のデータからも明らかになっています。
しかし「リバランスは必要だとわかっているけれど、具体的なやり方が分からない」という声も多いのが現状です。
そこで本記事では、1級FP技能士の鬼塚が、以下のテーマについて解説します。
- リバランスの目的
- 新NISAにおけるリバランスの計算方法
- SBI証券での具体的な売買手順
なお、本記事の内容は以下の動画でも詳しく解説しているので、興味がある方はぜひご覧ください。
リバランスとは
リバランスとは、分散投資を開始してから一定期間後に発生する資産配分比率のズレを元の比率に戻す作業のことです。
たとえば、株式50%・債券50%で運用を開始し、1年後に株式65%・債券35%になった場合、このずれを元の比率に戻すのがリバランスです。
リバランスすることで、値上がりした資産を売却して利益を確定し、値下がりした資産を購入できます。
つまり、リバランスは「高値で売って、安値で買う」という投資の基本原則に沿った行動そのものといえるでしょう。
新NISAにおけるリバランスの計算方法
リバランスするには、どの資産からいくら売却し、何の資産をいくら買い付けるのかを計算しなくてはいけません。ここでは、リバランスの計算方法を2ステップで解説します。
- STEP1. 総合計評価額に元の比率をかける
- STEP2. 商品ごとの評価額を引く
今回は、国内株式・国内債券・外国株式・外国債券の総合計評価額が、304,590円だった場合を考えます。
1ステップずつ見ていきましょう。
STEP1. 総合計評価額に元の比率をかける
まず、リバランス後の金額を算出するために、総合計評価額に目標とする資産配分比率をかけます。
総合計評価額 × 資産比率 = リバランス後の金額
総合計評価額は、ポートフォリオ画面で確認できます。
今回は、4資産の配分比率を以下のように設定した場合で計算してみましょう。
資産 | 比率 |
---|---|
国内株式 | 30% |
国内債券 | 10% |
外国株式 | 30% |
外国債券 | 30% |
国内株式の比率を見てみると30%が目標であるため、304,590円 × 30% = 91,377円がリバランス後の金額です。同様にして、ほかの資産も計算した結果は、以下のとおりです。
資産 | 計算式 | リバランス後の金額 |
---|---|---|
国内株式 | 304,590円×30% | 91,377円 |
国内債券 | 304,590円×10% | 30,459円 |
外国株式 | 304,590円×30% | 91,377円 |
外国債券 | 304,590円×30% | 91,377円 |
総合計評価額にそれぞれの資産比率をかけるだけなので、難しくありません。
STEP2. 商品ごとの評価額を引く
次にどの商品をいくら売買するのかを算出するために、STEP1で計算したリバランス後の金額から現在の評価額を引き算しましょう。
リバランス後の金額 - 現在の評価額 = 売買すべき金額
たとえば、国内株式における現在の評価額が98,600円の場合、91,377円-98,600円 = -7,223円となります。つまり、国内株式は-7,223円分売却する必要があることがわかります。
同様にして、ほかの資産も計算してみましょう。
資産 | リバランス後の金額 | 現在の評価額 | 売買すべき金額 |
---|---|---|---|
国内株式 | 91,377円 | 98,600円 | -7,223円(売却) |
国内債券 | 30,459円 | 26,928円 | +3,531円(買付) |
外国株式 | 91,377円 | 96,713円 | -5,336円(売却) |
外国債券 | 91,377円 | 82,349円 | +9,028円(買付) |
マイナスの場合は売却、プラスの場合は購入します。
リバランスする際は、売却を先に済ませてから買付するという順番で行いましょう。
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新NISAにおけるリバランスの方法【SBI証券の場合】
リバランスで売買すべき金額を把握できたら、証券口座のアカウントから資産額を調整します。ここでは、実際のリバランスの手順をSBI証券を例に挙げて紹介します。
- ポートフォリオを開く
- 売却する
- 買付余力を確認する
- 成長投資枠で買い付ける
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. ポートフォリオを開く
SBI証券にログインしたら「ポートフォリオ」をクリックします。
画面を表示したら、画面右上の評価額と左下の総合計評価額を確認しましょう。
この2つの数値を使って「新NISAにおけるリバランスの計算方法」で紹介した計算方法で売買金額を算出します。
評価額以外の数値は、計算に不要なので無視してかまいません。
2. 売却する
リバランスは、それぞれの商品を売買する必要がありますが、手順としては売却から行います。
商品名の左横にある「売却」ボタンを押し、注文金額とパスワードを入力して「注文確認画面へ」をクリックしましょう。
次に、注文確認画面で約定日を確認して「注文発注」をクリックします。
このときに、約定日を確認しておきましょう。
売却金額は、約定日の基準価額(投資信託の値段)が反映されます。
3. 買付余力を確認する
売却注文が完了したら、トップページの買付余力に反映されるのを待ちましょう。
買付余力は、約定日の翌日に反映されます。
約定日は、商品によって異なります。
国内商品(国内株式・国内債券) | 注文日当日 |
外国商品(外国株式、外国債券) | 注文日の翌営業日 |
このような違いは、時差の関係によるものです。なお、注文の申し込み締切時間は平日15時までで、15時以降や土日祝日の注文は翌営業日扱いとなります。
ここで大切なのは、買付余力は約定日の翌日に反映されることを知っておくことです。
4. 成長投資枠で買い付ける
売却資金が買付余力に反映されたら、買付注文します。
商品名の左横にある「買付」ボタンをクリックし、購入金額を入力します。取引パスワードを入力後、注文確認画面で内容を確認して発注しましょう。
新NISAでの買付は、成長投資枠で行う必要があります。積立投資枠では、スポット購入ができないからです。
なお、成長投資枠に空きがない場合は、特定口座での購入を検討する必要があります。
上級者であれば、積立投資枠でのボーナス増額機能を活用する方法もありますが、設定や解除などの細かい作業をしなくてはいけません。
初心者の方は、ここで紹介した手順を完了できれば大丈夫です!
新NISAにおけるリバランスの方法【楽天証券・松井証券】
SBI証券以外の証券口座でも、リバランスできます。ここでは、代表的な証券口座として楽天証券・松井証券におけるリバランスのやり方を解説します。
かんたんにできるので、ぜひ参考にしてみてください。
1. 楽天証券
楽天証券でリバランスする方法は、SBI証券と基本的な流れは同じです。
まず「投資信託」から「保有商品一覧」をクリックして現状を確認します。
画面に表示される各商品の評価額と現在の評価額合計を確認して「新NISAにおけるリバランスの計算方法」のとおりにリバランスする額を計算します。
次に、商品名の左横にある「売却」ボタンで売却し、買付余力反映後に「買」ボタンで購入しましょう。
2. 松井証券
松井証券において特筆すべきポイントは、業界で唯一の自動リバランス機能があることです。
自動リバランス機能は、松井証券が特許を取得しており、無料で利用できます。手順はかんたんで、条件設定画面からリバランスの頻度と実行日を設定するだけです。
たとえば、2月7日と設定すれば、毎年2月7日に自動的にリバランスが実行されます。
ロボアドバイザーと異なり、手数料は無料で商品も自由に選択できます。設定が完了すれば、あとは自動的にリバランスが実行されるため、手間がかかりません。
新NISAでリバランスする効果
リバランスには、リスクを下げながらリターンを上げるという効果があります。
1969年末から日本株・外国株・国内債券・外国債券に25%ずつ分散投資した場合のデータでは、その効果が顕著に表れています。
リバランスしなかった場合、投資額は約14.5倍になりました。一方、リバランスを実施した場合は約20.7倍となり、600万円以上の差が生じています。
2008年のリーマンショック時には、リバランスしなかった場合約35%の下落があったなか、分散投資とリバランスを組み合わせることで、下落幅を26%に抑えられました。
仮に1,000万円分を投資したと考えると、90万円の損失を抑制できたことになります。
このような効果が得られるのは、値上がりした資産を売却して利益確定し、値下がりした資産を購入するという投資の基本原則に従っているからです。
新NISAでリバランスする回数とタイミング
リバランスのやり方をわかっていても「いつどれくらいの頻度で実行すればよいか」を知らないと、知識をうまくいかせません。ここでは、リバランスする頻度やタイミングを紹介します。
- リバランスは年1回でOK
- リバランスの時期は投資をスタートして1年後
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. リバランスは年1回でOK
リバランスの回数は、年1回が最適です。
半年ごとや毎月リバランスするというように回数を多くしすぎると、リターンが低下することがデータで確認されています。
一方、間隔を5年などと長くしすぎると、リバランスのやり方を忘れてしまう恐れがあります。
年1回であれば「去年もこんな風にやったな」と思い出しながら実行できる程度の間隔といえるでしょう。
2. リバランスの時期は投資をスタートして1年後
リバランスの基本的なタイミングは、投資開始から1年後です。リバランスの回数を多くし過ぎると、リターンが低下する恐れがあるからです。
たとえば、9月に投資を開始した場合、翌年の9月にリバランスすればOKです。以降も、毎年同じ時期にリバランスしましょう。
なお、上級者向けの方法として、年末年始にリバランスするという選択肢もあります。この方法は、新NISAの非課税枠が翌年に復活することを利用した方法ですが、受渡日の確認など細かい注意点を意識しなくてはいけません。
そのため、初心者は投資開始から1年後という基本的なタイミングを守ることをおすすめします。
新NISAで年末にリバランスする際の注意点
最後に、新NISA口座で年末にリバランスする際の注意点を解説します。
- 新NISAの非課税枠は受け渡し日が基準
- 復活する非課税枠は売却金額ではなく購入金額
ひとつずつ見ていきましょう。
なお、年末以外にリバランスする場合は、ここで紹介する内容について注意する必要はありません。
1. 新NISAの非課税枠は受け渡し日が基準
新NISAの非課税枠の計算が行われる基準となるのは、約定日ではなく受渡日です。
年末にリバランスする場合は、とくに注意が必要です。
年内処理として認められるためには、受渡日が年内最終営業日より前でなくてはなりません。つまり、金融機関が年末の休暇に入る前に受渡日を終える必要があります。
具体例として、受渡日が約定日の3営業日後に設定されている商品を年末にリバランスするケースを考えましょう。
この場合、12月31日に売却しても受渡日が翌年になってしまい、年内処理とはなりません。そのため、クリスマス以降の売却では受け渡し日が翌年になる恐れがあります。
そのため、年末のリバランスを検討する場合は、12月中旬までに売却するのがおすすめです。
2. 復活する非課税枠は売却金額ではなく購入金額
非課税枠として復活する額は、売却時の金額ではなく、当初の購入金額が基準です。
たとえば、80万円で購入した商品が値上がりして100万円で売却できた場合、復活する非課税枠は100万円ではなく80万円です。
投資収益に関係なく、当初の投資額で非課税枠が計算されることを押さえておきましょう。
そのため、大きな値上がり益が出ている場合、復活する非課税枠が予想より少なくなる可能性があります。
年末リバランスを検討する際は、購入時の金額を確認しておきましょう。
リバランスでリスクをコントロールして新NISA投資を続けよう
リバランスは、単なる資産配分の調整以上の重要な意味を持っています。過去のデータを見ても、リバランスを実施することで、リスクを抑えながらリターンを向上させられることがわかっています。
また、SBI証券や楽天証券・松井証券などのいずれの証券会社でもリバランスが可能です。
年1回のリバランスを継続することで、リスク許容度に合った投資スタイルを維持できます。リバランスを活用して、着実な資産形成を目指しましょう。
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