「米国株・全世界株のどっちに投資するべきかわからない」
「両者のリターンやリスクを知りたい」
「投資するときの注意点は?」
米国株や全世界株はどちらも個人投資家から人気が高い商品です。ただ、どちらに投資すれば良いのかわからず悩んでいる人も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では以下の内容について詳しく解説します。
- 米国株・全世界株の判断基準
- 私鬼塚がどちらも買わない理由
- 米国株・全世界株に投資をする場合の対策
この記事を読めば、米国株・全世界株に投資をする際のリスクの減らし方がわかります。
ぜひ、最後まで読んでみてください。
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米国株と全世界株を一覧表で比較
米国株と全世界株のどちらが良いか決める前に、まず、米国株と全世界株を一覧表で比較したのが以下の表です。
商品名 | eMAXIS Slim米国株式(S&P500) | eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) |
---|---|---|
投資している国数 | 米国のみ | 先進国および地域23カ国新興国および地域24カ国 |
組入銘柄数 | 475銘柄 | 890銘柄 |
組入割合 | 株式95.6% 株式先物1.6% 投資信託2.9% | 新興国株式インデックスマザーファンド11.0% 日本株式インデックスマザーファンド5.3% 外国株式インデックスマザーファンド83.6% |
設定日 | 2018年7月3日 | 2018年10月31日 |
1万口あたりの費用の割合 | 0.112% | 0.170% |
米国株は名前の通り米国のみに投資をしています。一方で、全世界株は米国や日本を含めた先進国、新興国などさまざまな国・地域に投資しています。
米国株と全世界株の違い
米国株と全世界株の違いについて知るために、判断基準を見てみましょう。
- 投資対象先
- 得られるリターン
- リスク
順番に詳しく解説します。
1.投資対象先
米国株と全世界株では、投資対象となる国や地域が変わります。eMAXIS Slim米国株とeMAXIS Slim全世界株の月報を見てみると、米国株はほとんどS&P500に含まれる米国株のみの475銘柄(米国株の割合が99.55%)で構成されています。
一方で、全世界株は米国の銘柄が59.63%と最も多く、日本(5.52%)、イギリス(4.20%)、カナダ(3.01%)、フランス(2.88%)と続きます。
次にそれぞれの銘柄の構成比率上位10銘柄も比較しました。
eMAXIS Slim米国株(S&P500) | eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) | |
---|---|---|
1位 | アップル(6.3%) | アップル(3.7%) |
2位 | マイクロソフト(5.3%) | マイクロソフト(2.8%) |
3位 | Amazon(2.6%) | Amazon(1.5%) |
4位 | アルファベットA(1.9%) | アルファベットA(1.2%) |
5位 | バークシャー・ハサウェイ(1.6%) | エヌビディア(0.8%) |
6位 | エヌビディア(1.4%) | エクソンモービル(0.8%) |
7位 | エクソンモービル(1.4%) | ユナイテッドヘルス・グループ(0.7%) |
8位 | ユナイテッドヘルス・グループ(1.4%) | テスラ(0.7%) |
9位 | テスラ(1.3%) | 台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(0.7%) |
10位 | アルファベットC(1.3%) | ジョンソン・エンド・ジョンソン(0.7%) |
上位10社については米国株と全世界株式で大きな違いはありません。
しかし、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の9位に入っている台湾セミコンダクター・マニュファクチャリングは台湾の会社です。
米国企業についても若干の違いがあります。
2.得られるリターン
続いて米国株と全世界株に投資した場合に得られるリターンについて比べてみましょう。
なお、eMAXIS Slimの商品は2018年に設定された商品のため、myINDEXより米国株と全世界株に長期間投資した場合のデータで比較します。
まずは米国株の過去20年のリターンを見てみましょう。米国株を見ると過去20年の平均リターンは8%となっています。
続いて、全世界株の過去20年のリターンを見ると全世界株の過去20年の平均リターンは9.9%となっています。
したがって、過去20年の平均リターンを比べると全世界株に投資していた方が平均1%以上好成績となりました。
3.リスク
ここからは、米国株と全世界株のリスクについて見ていきましょう。
米国株の過去20年のリスクを見ると、14.8%となっています。
続いて、全世界株の過去20年のリスクを見ると、18.4%となりました。
つまり、全世界株の方が米国株よりも3.6%リスクが高いといえるでしょう。
過去20年のリターンとリスクについて両者を比較すると、リターンを優先するなら全世界株、リスクの少なさを優先するなら米国株という結果となりました。
私が米国株・全世界株のどちらも買わない理由
ここまで米国株・全世界株の2つについてさまざまな面から比較してきました。さて、どっちに投資すべきかという結論ですが、私鬼塚はどちらも買いません。
その理由は以下の3点です。
- 米国株の成績が今後も良いかはわからない
- 全世界株は新興国のリスクが高い
- どちらに投資する場合も大きな損失に耐えられる人が少ない
それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。
1.米国株の成績が今後も良いかはわからない
過去20年間のデータを見ると、米国株が年平均8%、全世界株が年平均9.9%のリターンと比較的好成績と言えます。
ただ、この結果はあくまでも過去のデータに過ぎません。インフルエンサーのなかには米国株や全世界株の過去のデータを見せながら、一時的に下落しても長期間では上昇しているという意見の人もいます。
とはいえ、将来を考えたときに現在まで調子が良い米国株や全世界株が今後も必ず上昇し続けるとは言い切れません。
そのため直近の成績が良いからといって米国株だけに投資するのではなく、投資先を分散させたほうがリスクを抑える効果が期待できると考えられるでしょう。
2.全世界株は新興国のリスクが高い
全世界株は先進国や新興国など多くの国に投資できる点に加えて、35通貨に分散できます。この話を聞くと分散投資をするので安全と考える人もいますが、必ずしも安全とは言い切れません。
その理由は、全世界株の構成銘柄のうちの11%を、政治・経済的なリスクが大きい新興国株が占めているからです。
新興国株は先進国よりも得られるリターンが大きい時期もありますが、情勢が悪化すると価値が大きく下落する恐れがあります。
若いうちは新興国株にも分散して大きなリターンを狙っても良いのですが、60代や70代になってからリスクの高い国に投資をするのは危険です。
老後になってから安全に運用するために全世界株を外したいと思っても、商品の性質上外せません。よって、将来的に安全な運用をする可能性がある場合は、全世界株への投資はおすすめできません。
3.どちらに投資する場合も大きな損失に耐えられる人が少ない
米国株も全世界株もリスクは10%を大きく超えており、ハイリスク・ハイリターンの投資と言えます。また全世界株なら世界各国に分散しているイメージを持っているかもしれないですが、組入銘柄の国別割合を見ると、約6割が米国株です。
以下の画像は、世界金融危機(2007年7月〜2009年2月)にそれぞれの商品に投資していた場合のリターンです。
この画像を見ると、世界金融危機の時には米国株が59.7%も資産を減らしています。全世界株(先進国株の61.7%とエマージング株の61.1%)については、約6割も資産は減少しています。
仮に1,000万円を運用していた場合は、たった数年で600万円近い資産を失いますが、あなたは耐えられるでしょうか?
私の経験上、6割の下落に耐えられる人はほぼいません。このように、米国株や全世界株は下落率も高いため、私はあまりおすすめしていません。
全世界株や米国株に投資する場合の対策
全世界株や米国株はハイリスク・ハイリターンではありますが、それでもどちらかの商品での資産運用をしてみたいと考える人もいるかもしれません。
その場合は、以下の対策をした上で投資しましょう。
- 債券にも分散投資をする
- 年1回リバランスをする
- 長期間の取引を前提とする
- eMAXIS Slimの先進国株と新興国株を両方組み合わせる
- NISAやつみたてNISAで投資すれば運用益が非課税となる
順番に対策について解説します。
1.債券にも分散投資をする
全世界株や米国株に投資する場合は、債券にも分散投資することをおすすめします。世界金融危機の時のリターンを見ても、日本債券は6%上昇しています。
つまり、債券に同時に投資をしておけば、ほかの株式やREITなどの資産が減少しても若干は損失をカバーできます。
2.年1回リバランスをする
米国株も全世界株も年平均のリターンは高い成績ですが、世界金融危機のようなことがまた発生すれば資産を大きく減らしかねません。
そこで、そのような金融危機に備える方法として、年に1回のリバランスをおすすめします。
リバランスとは、値上がりした金融商品を売って得た利益で値下がりした金融商品を買うことで、資産の比率を修正する方法です。
実は、マネー研究所Money&Investmentの記事によると、1969年から2014年の期間ではリバランスをしたほうが資産は増えています。
リバランスをしておくことで、リスクの高い資産をリスクの低い資産に移動できるため、大きく下落した際の損失を抑えられます。
3.長期間の取引を前提とする
長期投資では、一時的に大きく下落するケースが珍しくありません。過去にはアジア通貨危機・世界金融危機・コロナショックなどで資産が大きく減るケースがありました。
短期間で取引していた場合、大きく下落したときに資産を手放すことになるでしょう。しかし、長期間の取引を前提にしていれば、すぐに手放す必要はありません。
精神的な面でも長期投資前提で考えていた方が、楽な気持ちで資産運用をできます。
4.eMAXIS Slimの先進国株と新興国株を両方組み合わせる
全世界株は将来的に新興国株を外せないのがデメリットでした。
どうしても全世界株での投資をしたいのであれば、eMAXIS Slimの先進国株と新興国株の両方で運用をする方法があります。
2つの商品は、eMAXIS Slim全世界株とは異なり、それぞれが独立した商品です。
よって、将来安全性を考えて新興国株の投資をやめたいときは、eMAXIS Slimの新興国株のみ売却すれば問題ありません。
5.NISAやつみたてNISAで投資すれば運用益が非課税となる
米国株や全世界株に投資をする際には、NISAやつみたてNISAを利用しましょう。NISAやつみたてNISA制度を利用して購入すれば、一定額までなら恒久的に譲渡益や配当金が非課税になります。
約20%の税金がかからなくなるので、より多くの利益を手元に残しやすくなります。
また、自動引き落としの設定をしておけば、長期間の積立投資をする場合でも積立を忘れるリスクがなくなるでしょう。
米国株・全世界株はどちらもリスクが高いので注意
米国株・全世界株は年間のリターンが高い商品ですが、どちらも世界金融危機のように景気が著しく悪化すると、資産を6割近く減らすリスクもあります。
そのため、これまでの成績が良かったからという理由だけで投資するのはおすすめしません。
どうしても米国株や全世界株に投資をしたいのであれば、債券を組み入れたりリバランスをしたりして、リスクを減らすようにしましょう。
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これから米国株や全世界株に投資をしたい人は、ぜひ参考にしてみてください。
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